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「大災害」デマが国際便を奪った背景:なぜ人々はフェイクに惑わされるのか?


はじめに

2025年7月5日に「大災害が起きる」という根拠のないデマが、徳島・米子両空港の香港便を9月から運休に追い込みました。この騒動は、いかにフェイクニュースが現実世界に深刻な影響を与えるかを浮き彫りにしています。


デマが国際便を停止させた経緯

今回のデマの発端は、漫画家たつき諒さんの漫画「私が見た未来」でした。この作品が東日本大震災を予見したと受け取られたことから注目され、特に2021年刊行の「完全版」で描かれた「2025年7月5日に巨大津波が日本を襲う」という記述がインターネット上で爆発的に拡散されました。

気象庁が再三「デマ」と否定しても、動画の再生回数は増え続け、まるで20世紀末のノストラダムスの予言のような社会現象に。漫画の中国語版が出版されていたこともあり、香港でもこの噂が広まり、日本への渡航を避ける動きが加速。結果、徳島~香港便の5月搭乗率は22%にまで落ち込み、運休という苦渋の決断に至ったのです。これは、地方にとって国際定期便という大きな資産を失う深刻な事態です。

これにより、航空会社だけでなく様々ところで大損害が生じました💦


なぜ人はデマに騙されてしまうのか?

私たちはなぜ、根拠のないデマに惑わされてしまうのでしょうか。

社会心理学のオルポートの公式は、「流言やデマは証拠があいまいであるほど人々の憶測を呼び、急速に広がる」と指摘しています。今回のデマも、あいまいな情報だったからこそ、人々の不安や想像力を掻き立て、際限なく広まっていったと考えられます。

また、現代社会の閉塞感や先行きの不透明さも、デマが広がる背景にあると言えます。不安を抱える中で、「災害」という終末的な予言が、現状の不安から目を背ける心理的な逃げ道を提供してしまったのかもしれません。

さらに、SNSの爆発的な拡散力も忘れてはなりません。真偽が確認される前に情報が瞬時に広がり、多くの人々に影響を与えてしまうのです。

「人は不確かなものを恐れる」傾向にあるようです。


情報リテラシーを高め、デマに立ち向かう

今回の件は、私たちがデマに対してどれほど脆弱であるか、そしてその影響がいかに甚大かを改めて示しました。情報過多の現代において、情報の真偽を冷静に見極めるリテラシーが何よりも重要です。

情報社会で生きていくうえで情報リテラシーは重要になっていくはずです。

では、情報リテラシーを高めるためにはどうすれば良いのでしょうか?

  • 情報源を確認する: 誰が、どのような意図で情報を発信しているのかを確認しましょう。信頼できる機関やメディアの情報を優先し、匿名性の高い情報には特に注意が必要です。
  • 多角的に情報を比較する: 一つの情報源だけでなく、複数の情報源から同じテーマに関する情報を集め、比較検討することで、偏りなく事実を把握できます。
  • クリティカルシンキング(批判的思考)を養う: 提示された情報を鵜呑みにせず、「本当にそうなのか?」「他に可能性はないか?」と常に疑問を持つ習慣をつけましょう。感情的にならず、論理的に考えることが大切です。
  • 安易な拡散を避ける: 不確かな情報を「いいね」したり、シェアしたりすることは、デマの拡散に加担することになります。真偽が不明な情報は、むやみに広めないようにしましょう。

不確かな情報に惑わされず、冷静な判断を下すこと。これこそが、私たち自身の生活を守り、社会の混乱を防ぐために不可欠です。