はじめに
日本、イギリス、イタリアの3カ国が、次期戦闘機の共同開発を進めていることをご存知でしょうか?「グローバル・コンバット・エア・プログラム(GCAP)」と名付けられたこの野心的なプロジェクトは、各国の航空技術の粋を集め、未来の航空戦をリードするであろう画期的な戦闘機を生み出そうとしています。今回は、この注目の開発について、その概要から性能、共同開発の利点、そして今後のスケジュールまで、詳しく調べてみました。
1. 開発の概要:国際連携で実現する次世代アビオニクス
GCAPは、既存の戦闘機を凌駕する能力を持つ次世代戦闘機の開発を目指す国際共同プログラムです。具体的には、日本が開発を進めていたF-X(次期戦闘機)計画と、イギリス・イタリアが主導していたテンペスト計画が統合される形で、2022年12月に正式に合意されました。
このプログラムの中心には、AI(人工知能)やセンサーフュージョンといった最先端技術の統合があります。ステルス性能はもちろんのこと、ネットワークの中心として他の装備品と連携し、多様な情報をリアルタイムで共有・分析することで、パイロットの認知負荷を軽減し、より迅速かつ正確な意思決定を可能にすることを目指しています。
ついに飛行機にAIが搭載されます。
開発体制としては、日本からは三菱重工業、イギリスからはBAEシステムズ、イタリアからはレオナルドが中心となり、各国が持つ技術的強みを持ち寄る形で進められています。
2. 性能:AIが操る「コックピットの革命」
GCAPによって開発される次期戦闘機は、その性能においてまさに「ゲームチェンジャー」となることが期待されています。

- 高度なステルス性能: 敵のレーダーに探知されにくい、高いステルス性を実現します。
- 革新的なセンサーシステム: 最新のレーダー、赤外線センサー、電子戦システムなどを統合し、広範囲の脅威を早期に探知・識別します。
- AIによるミッション遂行支援: AIが収集した情報を分析し、最適な戦術や目標をパイロットに提示。場合によっては、AIが自律的に状況判断を下し、パイロットを支援する「コ・パイロット」としての役割を果たすことも想定されています。
- ネットワーク中心の戦闘能力: 他の航空機、無人機(UAV)、艦艇などと連携し、情報をリアルタイムで共有することで、統合的な戦闘能力を最大化します。
- 高出力エンジン: 優れた運動性能と長い航続距離を実現するための、パワフルなエンジンが搭載されます。
これらの性能により、パイロットはかつてないほどの状況認識能力と意思決定速度を得ることができ、より複雑な任務にも対応できるようになります。
私が知っている戦い方とは全く違ったものになりますね。
3. 共同開発の利点:コスト削減と技術革新の加速
国際共同開発には、いくつかの大きな利点があります。
- 開発コストの分担と削減: 1カ国で開発するよりも、開発費を3カ国で分担することで、1カ国あたりの財政的負担を大幅に軽減できます。次世代戦闘機のような大規模プロジェクトでは、開発費用は数兆円規模に達するため、これは非常に重要な要素です。
- 技術的リスクの分散: 各国が持つ技術的強みを持ち寄ることで、特定の技術分野における開発リスクを分散し、困難な課題の解決に貢献します。
- 技術革新の加速: 異なる国のエンジニアや研究者が協力することで、新たなアイデアやアプローチが生まれやすくなり、技術革新が加速されます。
- 将来の運用協力の礎: 共同開発は、将来的な防衛協力や共同訓練の基盤となります。共通の装備品を運用することで、相互運用性が向上し、より効果的な連携が可能になります。
- 規模の経済による生産コスト削減: 複数国での調達が見込まれるため、生産規模が拡大し、機体1機あたりの生産コストの削減にも繋がります
日本のように割高で米国から戦闘機を買っていた国としては生産コストが下がるのは凄くいいことですね!
4. いつ頃試験飛行が行われるのか?

GCAPにおける次期戦闘機の初号機の試験飛行は、2030年頃を目指しているとされています。その後、各種試験を経て、2035年頃の実戦配備を目指す計画です。
これはあくまで現時点での目標であり、開発の進捗状況によっては多少前後する可能性もあります。しかし、関係各国は精力的に開発を進めており、目標達成に向けて協力体制を強化しているようです。
早く飛んでいる姿を見てみたいです。
まとめ
日英伊による次期戦闘機共同開発「GCAP」は、単なる兵器開発に留まらず、国際協力の新たな形を示すものです。最先端技術を統合し、AIを駆使することで、航空戦のあり方を大きく変えるのではと思います。2030年代に向けて、この革新的な戦闘機がどのように日本の防衛に貢献していくのか、その動向に今後も注目していきたいと思います。