安心して空の旅を:パイロット不在時のコックピット安全対策について
先日、ドイツのルフトハンザ航空機で発生した、コックピット内の安全に関わる出来事が報道され、空の旅の安全性について不安を感じた方もいらっしゃるかもしれません。

情報によると、昨年2月にフランクフルトからスペインのセビリアに向かっていたルフトハンザ航空の旅客機で、機長がトイレのためコックピットを離れた際にこの事態は起こりました。機長が戻ろうとドアのチャイムを鳴らしたにもかかわらず、副操縦士はコックピット内で意識を失っており、ドアが開きませんでした。機長が緊急操作で入室できるまでの約10分間、操縦士が不在の状態で旅客機は飛行を続けました。その後、機長が操縦を引き継ぎ、途中のマドリードの空港に着陸。副操縦士は病院に搬送され、一時的に入院したとのことです。この旅客機には乗客・乗員合わせて205人が搭乗していました。
このような状況を聞くと、「もしコックピットに操縦士が一人きりになった状態で、その操縦士が急に意識を失うといった事態が発生したらどうなるのだろう?」という心配は当然かと思います。
日本の航空業界における安全対策
ご安心ください。日本の航空業界では、このような「コックピット内に操縦可能なパイロットが一人きりになる」という状況を避けるための対策が講じられています。
日本の航空会社では、飛行中にパイロットがトイレなどで一時的にコックピットを離れる必要がある場合、**客室乗務員が一人、コックピット内に入ることが義務付けられています。**これにより、コックピット内には常に2名以上の人間がいる状態が保たれるのです。
ジャーマンウイングス9525便墜落事故をうけて日本はこの対策を続けてきました。
この対策の目的は、万が一、コックピットに残った操縦士が急病などで操縦不能になった場合でも、コックピット内に他の人間(この場合は客室乗務員)がいることで、コックピットドアの開閉が確実にできる状態を維持することにあります。これにより、離席していたパイロットが速やかにコックピットに戻り、航空機の操縦を引き継ぐことが可能になります。
このように、ルフトハンザ航空の事案のような、コックピットにパイロットが一人きりになり、そのパイロットが操縦不能に陥るといった状況は、日本の航空業界では発生しないよう、客室乗務員がドアの開閉役としてコックピットに入るという手順により安全が確保されています。
ですので、日本の航空会社をご利用のお客様は、どうぞご安心ください。